道すがら瞬間的にたぎってスマホを取り出す時がある。
そうしてたまにそれらを見返しては、世の中にまだ見逃してしまってる、取りこぼした世界に想いを馳せる。でもそれは「希望」といっても差し障りないもの。撮影した写真は、アタシの胸を焦がすものがまだこんなにもあることを教えてくれる。
今回はそんなトトメスの秘部、スマホの写真フォルダの中身から
ロードコーン
にスポットをあてるわ。
ラバー素材のあの子
巷ではカラーコーン(ある会社の商標なんですって)という名前でお馴染みの、街中に、アタシ達の生活に物言わず寄り添う彼ら。気づいてくれよと言わんばかりに色づいた見た目の主張こそあれど、その丸みを帯びた三角形は、尖りきれない謙虚さを感じて可愛い。
ある場所への立ち入りを禁じ、己が立つことでこの世界を二分させる使命を忠実に守る姿はなんとも健気。
その実、
スペースの関係あるいはそのエリアで労力があまり過ぎた結果二つが一つとして重ねられたもの、
疲れはてボロボロになりながらもその場を一歩も動かず職務を全うしようとするもの、
景色にすっかり馴染んだ古参とやる気に満ち溢れたピカピカの新入り、
と言った具合に各現場にはそれぞれのストーリーが垣間見える。
とりわけ独自性を打ち出そうとするある意味やんちゃなロードコーンにレンズを向けずにはいられない。
「規制」と「区分け」の使命だけじゃ飽き足らず、「己がここにいる」、単なる境界線という存在から解き放たれんとするそのレジスタンスが、アタシにはひときわ眩しく映る。
例えばそう
埼玉こども自然動物公園で見かけたロードコーン達はもはや園のキャストそのもの。
動物園という治外法権下で独自にデザインされ、来園者にルールを優しく諭す。言わば随分と愛想のいいバッキンガム宮殿の衛兵のようなもの。画像を振り返るだけでもそこがどこで、何を守ってるのか、彼らが纏った装いで一目瞭然。
ほら。
ね。
(真ん中のコーン、手の込んだ青の麒麟模様と違って、余った端材をも使おうとするSDGs精神もとい、ずぼらさが垣間見えるところから、作り手が違うのかしら?とも思わされる。)
一方でこちら、
華やかではなくとも、ユニークさとおっとりした見た目でその場の視線を奪うまるでアイドルデュオそのもの。
真の主役に擬態しながらも人気と実力は確かで、タッグを組んだこの二つを何人たりとも汚せない気がする。
それでもこれらコーンはあくまで特別区の存在。日常すれ違う彼らとはもともと一線を画すのは事実。
そんな中、先日都内某所で出会ってしまったのは、
…ロードコーン界のちゃんみな?
え、待って待って。バイカラーとかあり?そんな存在いた?
これがスタンダード、みたいな顔して、2つでたむろいながら余所者の車の侵入拒むんだ?
そんなのって……
もうカッコよすぎて誰も近づけないじゃない。
誰に対しても門戸を開ける解放的な黄色と、本音をひた隠す紫色。アンビバレントな局面を見せながらこうも堂々とした佇まいはもはや天晴れ。友人の会話を一旦遮り、思わずシャッターを押したわ。
心なしか尖っても見える。美しいわ。
もしかしたら、貴方の日常に、貴方の後ろに、知らぬまに何食わぬ顔して個性を解き放とうとするロードコーンがあるかもしれない。
どうかアタシまでご連絡を。
気温の乱高下が続く日々、風邪ひくなよ💋
トトメス