長い長いゴールデンウィークも折り返したかという今日この頃。

接客業で連休は関係ない私も今日はお休みで、彼と近所のショッピングモールにランチに行きました。

そこは魚屋さんが経営しているお寿司屋さん。
鮮度のいいお寿司をお手頃価格でいただけるのでよく行っています。

平日はお昼時に行っても空いているのに、祝日の今日は並びが出るほど。
我々は少し並んでから、二人がけのテーブル席に座りました。
隣には80歳は超えていようかという老夫婦がすでにお寿司を召し上がっていました。

いつもよりちょっぴりいいメニューを注文した私たちはなにを話すでもなく、ただお寿司ができあがるのを待ちます。

そこで彼の隣にいたおばあさんがお寿司が食べきれないようで、どこからか出してきたスーパーのあの薄い透明の袋にダイレクトにお寿司を入れ始めます。
　
声には出さずとも、顔を見合わせる私たち。

（今日は最高気温23℃。どこにお住まいかはわからないけど、生モノをそのまま持ち帰って大丈夫かしら……）
　
きっとお互いにそんな考えが脳裏によぎったことでしょう。

「みっともないからそんなことはやめなさい」

おじいさんの制止も意に介さず、残りのお寿司も入れ終わるおばあさん。

（まぁ歳をとったら食が細くなるし、そんなこともあるか……）

するとおばあさん、急に咳き込みはじめてしまいました。
飛び散るお米たち。
ただただ心配で見守る私たち。

おばあさんはおもむろに例の袋を取り出して、その中へと咳き込みます。
中にはきっと後で食べるつもりだったお寿司たち。

（このお寿司どうするんだろう。まさか後で食べたりして……）

おばあさんが落ち着くと、おじいさんが甲斐甲斐しくおばあさんの服やテーブルを拭いてくれました。
その場はなんとか収まり、少し心許ない足取りで老夫婦はお店を後にしました。
　
そして並んでいた年配のご夫婦と別の若い家族が入店してきました。
でも空いている席はバラバラ。

結局、私たちの隣にお母さんと小さい娘さん、反対側にはご夫婦が座り、さらに奥には女の子が二人だけで座りました。カウンターにはお父さんとその息子さんという配置。（5人家族？もしかしたら女の子のうち一人はお友達かしら）

ややこしいので図解します↓
　
👩　　彼　　👵　　👧

👧　　私　　👴　　👧

　　👨👦
　 カウンター

年配のご夫婦は一度は座ったものの、ご家族の状況を察してか、若パパに「よかったら席交換しますか？」と声をかけますが、やんわり断られていました。

その後奥さんに「なんで断ったの？」と聞かれた若パパは、

「あの席、さっきおばあさんがゲロ吐いてたから」

とサラッと言ってのけました。

（デリカシー……！）
（せっかく気を利かせて席を譲ろうとしてくれたご厚意になんたる仕打ち）
（しかもゲロじゃないし）

と後で確認したところ同じことを思っていた私たち。

でも「横からすみません、ゲロは吐いていませんでしたよ」
なんて言えるわけもなく、モヤモヤを抱えたままいつもよりちょっといいお寿司を食べ続けます。
（心なしか私たちのお寿司まで輝きを失ったような……）

その状況を見ていたのか、店員さんが慌ててモップを持ってきて床の掃除をしたり、テーブルをアルコール消毒してくれていました。
　
なんていうことのない話ではあるのですが、ほんの30分ぐらいのうちに色々な出来事が起きて、（実は食券を多く買ってしまって揉めているおじいさんもいました）いろいろ考えさせられました。

私たちが住むこのエリアは高齢者が多く、さらにファミリー層も多いので、こういった光景は日常茶飯事です。
自分たちは男二人で同棲しているので、浮いていることこの上ないのですが、そんな周りの人たちを見てはどうなっていくんだろうと思いを馳せたりもします。

今回彼が思ったことは「いい歳のとり方をしよう」ということ。
私が思ったのは「明日は我が身」。

どちらがあのおばあさんやおじいさんの立場になるかは分かりません。
あの老夫婦がどうとかいう話ではなくて、ただ自分が思うように食事をしたり、身体を動かしたりできるのはいくつまでなんだろうと考えました。
なんでも自由が利く今のうちにやりたいことはやっておいた方がいいとも思いました。

前は高齢の方を見ても別世界のように感じていたけれど、今は「数十年後の私の姿」と少しずつ考えるようになりました。

すぐにではなくともいつか必ず来るそのとき。
どんな自分で、隣には誰がいるのかいないのか。

なんて考えかけましたが、今日の出来事にやっぱり大した学びはないかもしれません。

そんな私は明日もせっせと働きにゆきます。