わびさび茶飯事

LIFE
2024.08.29

ゲイの老後に必要な資金ってどのくらい?

ファミリー向けの情報ばかり

 「おかね」の話について、いざネットで調べてみたり、金融機関に相談しに行ったりすると、「結婚」や「教育費」などのファミリー想定の情報ばかりが溢れています。
今でこそ、「おひとりさま」向けの情報にまつわる話が増えてきたものの、私のようなゲイの人たち、セクシャルマイノリティの人たち、世間の「マジョリティ」といわれる部類に入らない人たちへの情報は、まだまだ少ない気がしてしまいます。だからこそ、本コラムで「おかね」にまつわる情報を発信しようと思ったのは、そういった理由があります。
 ゲイ当事者による、マイノリティの人たち向けの発信。もちろん、非当事者の人たちに役立たないわけではなく、万人にとって役立つ内容もありますが、目線は同じゲイの人たち向けに書いていくことをご了承ください。

メゾン・ド・ヒミコに憧れて

 私はかねがね、「家族を作れるわけでもないし、介護状態になったら、自分でなんとかしなきゃ」という思いをずっと抱いていました。今になって、「長年連れ添ったパートナーが面倒を見てくれる」とか、「恋人関係とかではなくても、友人の延長線上にある擬似的な”かぞく関係”というのを作れるかもしれない」とか、いろいろな考えもあって、その辺りについてもいずれ書き連ねたいところではあるのですが、一周回って、自分の身近な人が介護をするよりも、介護は介護業界の人たちに委ねよう、という考えが今の優先度の高い考えになっています。
 それこそ、映画『メゾン・ド・ヒミコ』のような若いイケメンの介護ヘルパーがいるようなところで過ごそうと思ったら、それなりの金額が必要そうですしね笑

 とすると、必要になってくるのは、やはり「おかね」。しかも、そもそも介護状態になる手前に、仕事をリタイアし、年金生活をしていく、といった状態になった時に、「今の年金金額では足りない」という統計データも出ており、なかなか一筋縄ではいかなそうな雰囲気がありますよね(苦笑)
 あ、もう読むの嫌になってきましたかね?(笑)
 そこは、本コラム『遅かれ早かれ・・・』のタイトルの通り、いずれ、否応なしに考えなくてはならないところ。あとの祭にならないように、今のうちに現実を知っておきましょう!(笑)

 ではいったい、どのくらい老後費用が必要なのかをみてみましょう。
 とはいっても、正直、「人によって千差万別」。一概にいくら、というのはあくまで参考数値でしかありません。
 ・どういう勤務形態だったか(会社員なのか、個人事業主なのか)
 ・どういう住居形態か(賃貸なのか、ローンを支払い終わっているのか)
 ・月々の生活費はどのくらいなのか
 その辺りによっても、月々の収入と支出は全然変わってくるので、あまり「平均データ」をみても、なんだかしっくり来ない、、、という風になるのですが、総務省の2023年の家計調査によれば、65歳以上の単身無職の方の全国平均支出は、【16万7,620円】だそうです。内訳を見てみると、
食費:46,391円
住居費:23,815円
光熱・水道費:13,045円
家具・家事用品費:5,955円
被服および履物費:4,712円
保健医療費:7,426円
交通・通信費:21,796円
教養娯楽費:19,425円
その他支出:25,051円

 ん?この内訳・・・「住宅ローン払い終わっている持ち家想定?」とか、「食費4万強に外食入っているみたいだけど、ちょっと少なくない?」とか、その他、人によって、いろいろな印象を抱かれるのではないでしょうか。
 ゲイバーに行くなり、ホームパーティーするなり、もしくは旅行にたくさん行くなり、といった人によっては、「教養娯楽費」というところに「交際費」という内訳が入っているのですが、月2万じゃ無理!と思う人もいらっしゃるかと思います笑
 ですので、「自分だったら、月々◯万円くらいないと生活できないなー」と試算してみてください。
 
 では逆に、年金生活になると、どのくらいの収入になるのでしょうか。これも先ほどお伝えした通り、「個人事業主(つまり国民年金加入期間)」「会社員期間(つまり厚生年金加入期間)」がどのくらいなのか。またその方の年収によって、厚生年金の金額が変わってくるし、企業年金の有無などによっても変わってっくるのですが、総務省の2023年家計調査によれば、65歳以上の単身無職世帯は、11万4,663円だそうです。
 え?それだけ?と思われる方も多いと思うのですが、これはあくまで全国平均ですので、ご自身の年金額を知りたい方は、ざっくりとしたシミュレーションができる厚生労働省のこちらのサイトをご活用ください。
厚生労働省 公的年金シミュレーター
https://nenkin-shisan.mhlw.go.jp/

ゲイの老後に必要な資金ってどのくらい?

 支出が約月17万。収入(年金)が約月11.5万とすれば、月5.5万足りないわけです。
 65歳から、皆さんは何歳まで生きたいですか?「そんなに長生きしたくない」という声もよく聞きます。でも、人間って、なかなかよくできた生き物で、厚労省の2022年のデータによれば、平均寿命が男性 81.05年、女性87.09年だそうです。
 さらに、90歳以上生きる方は、男性で約25%、女性で約50%だそうです。
 ゲイの場合、4人に1人が90歳以上生きる・・・そこに自分が当てはまる可能性、大いにありますよね?
 とすると、65歳から仮に90歳まで生きた場合、25年間、毎月5.5万円足りないとすれば、1650万円もの金額が足りない、と試算されます。
 これは仮に毎月の収支がもう少し高い人、たとえば、毎月の支出が25万円、収入(年金)が20万円弱といった人でも、同様の結果です。

 そこに、冒頭に言っていた介護費用が加わるとすれば、最低でも、2000万円くらいはないと厳しいのでは?と思ったりしています。
 「あれ?老後2000万円問題って、うちらにも関係あったの?」と思われたそこのあなた。
 実は、あの「2000万円問題」というのは、会社員と専業主婦の「モデルケース」と言われる夫婦2人が老後を迎えた時の全国平均の必要な金額と言われているものなのですが、僕からすると、ゲイ単身者にとっても、2000万円問題は大いに関係してくると思っています。
 というか、ゲイのように、自分なりに「実りある老後」を過ごそうと思ったら、もっと資金としては、必要になってくるのでは?と思ったりしています。

 では、そこまで大きな金額、どのように準備すればいいのか。それは、次回「解決編」として、一つの解決策をご提示したいと思っています。(まさかの推理アニメばりの2篇構成でした笑)

 あまり直視したくない現実かもしれませんが、そこに向き合って、ここまでお読みいただいたあなたに感謝です笑

書いた人
シュンMCやりたがり

東京在住40代ゲイ。本業はファイナンシャルプランナーっぽいことをしている。ドラマや映画、Podcast鑑賞が趣味。手話を勉強中。YouTubeではひたすらKPOPを追っかけている

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